下川町民のエコリュックサックは?~第2回ゼロカーボン推進町民勉強会~
生活者への影響は?私たちになにができる?下川町民のゼロカーボンへの挑戦が始まる。
こんにちは、下川町の佐藤と清水です。今月は初のゼロカーボン推進戦略室とSDGs推進戦略室のコラボ企画でお届けしております。
というのも、今まで広報しもかわでは、ゼロカーボン通信や、ありたい姿探検記にて、ゼロカーボンを学べる場である「第1回ゼロカーボン推進町民勉強会」について紹介しました。
第1回勉強会の内容はこちらから↓
大注目の第1回に続いて、今回は「第2回ゼロカーボン推進町民勉強会」の様子を共同の特集記事としてお届けします。
※この記事は下川町の広報11月号「ゼロカーボン通信/ありたい姿探検記」コラボ記事の充実版です
第2回ゼロカーボン推進町民勉強会(10/11開催)
第2回となるゼロカーボン推進町民勉強会を10月11日に開催し、会場には30名を超える参加者が集まりました。
前回のおさらいから始まり、また少し、枝廣先生から気候変動について教わりながらも、今度は私たちの環境に落とし込んだ話をしました。
北海道は全国からみるとどうなのか?上川は?下川は?
とどんどん絞っていきます。
北海道では雪が減っていることは周知の事実だと思います。日本海側の年最深積雪の30年平均の基準値に対する比が、10年あたりで約5%の割合で減少している状態です。
雪が減って嬉しい!寒い日が減って嬉しい!と思っている方も多いと思います。しかし、気候変動が進む中で、マイナス面はたくさんあります。
なりゆきの未来(最大5.7℃上昇シナリオ)
このままなにも気候変動への対策をしない場合のこれから(21世紀末)の気候の変化の最悪な状況を見ていきましょう。
世界:平均気温が最大5.7℃上昇
北海道:短時間豪雨の発生頻度が約4.1倍増
北海道:年最深積雪が約44%減
上川地方:年平均気温は約4.9℃上昇
今、さっぽろ雪まつりの開催が危ぶまれています。
たしかに、除雪などの冬の過ごし方が楽になったりと、一見いいことに思えるかもしれません。
一方で、さっぽろ雪まつりの開催、スキー場のシーズン短縮、大雪大雨、台風直撃や真夏日の増加など、災害リスクも高まります。
パリ協定の約束が達成された場合(2℃上昇シナリオ)
「少しでもいい未来へ」そんな願いを込めて、パリ協定で約束された世界の気温を2℃上昇までに留めた場合のシナリオをみてみましょう。
世界:平均気温2℃上昇
北海道:短時間豪雨の発生頻度が約1.7倍増
北海道:年最深積雪が約12%減
上川地方:年平均気温は約1.5℃上昇
対策をしっかりととった場合、ここまで未来の環境が変わってきます。災害リスクにさらされることも最小限に抑えられます。
下川町の現状は?
未来の気温上昇を抑えると言っても、どう抑えていくか、世界中で頭を悩ませています。下川町はどういう状態なのか、見ていきましょう。
下川町の温室効果ガス排出のグラフの産業部分について深堀すると、メタンの割合が他より多くなっています。
というのも、 水田の発酵だったり、酪農で反芻動物のゲップによりメタンが排出されるからです。
一方で、運輸部門は以前と比べて排出量が削減されていますが、車の台数は変わっていません。削減の要因として、軽自動車が増えていること、さらには低燃費化が進んでいることが挙げられます。
これらの現状、生活、社会の仕組みをまるっと変えることが、ゼロカーボンの実現に繋がります。
ゼロカーボンの実現に向け何ができるか?
これを踏まえ、ゼロカーボンの実現に向け、何ができるかを参加者同士で話し合いました。
話し合いで出たアイディア
そこで出た内容を簡単に分類分けすると、5つのテーマが見えてきました。
ゼロカーボンを考える際の大事な視点
ゼロカーボンを考えるうえで大事な視点を、枝廣先生よりお話しいただきました。
①気候変動の原因は、人為的に排出するCO2にあり!
CO2には、木炭を燃やすなど植物由来のもので排出するCO2と、化石燃料などを燃やして人為的に排出するCO2があります。
植物由来のCO2は、もともと植物が成長する際に大気中から吸収したCO2をそのまま大気中に排出するので、CO2の排出量は実質プラスマイナスゼロとなります。
一方で人為的に排出するCO2は、吸収していない分を排出するので、CO2の排出はそのままプラスになってしまいます。この人為的に排出するCO2を積極的に削減していくことが大事です。
②「エコリュックサック」を考えよう!
ボールペンや野菜など、私たちが普段使ったり食べたりしているものは、実は製造や運搬の過程でCO2が発生しています。
このことを、実際には見えないCO2をリュックのように背負っていることから、「エコリュックサック」と呼んでいます。
例えばジャガイモで考えると、下川産のジャガイモと外国産のジャガイモでは、運搬の際に発生するCO2にとても大きな差があります。
ゼロカーボンを考える際は、このように「見えない」CO2も考えていくことが重要です。
お買い物をする際の基準として、商品の状態や値段以外にも、経緯などを辿るという視点も持っていきたいですね。
気温が上昇したら、動植物はどうなる?
100年で3℃上昇するというのは、100年で300km南へ移動するのと同じ。 植物はもっと時間がかかります。
動物は1日7mのスピード。植物は種の移動になるため、1日7mの移動はできません。
つまり、農業は気候変動の影響を最も受けるであろう職業になります。下川町は林産業と農業と、植物を扱う産業が盛んな町です。
下川町が持続可能な、リスクに強い町になるためには、そもそもリスクを遠ざけるため、気候変動への対策をする必要があるのです。
本当にある怖い話「CO2は不死身」
温室効果ガスにも寿命があることはご存知でしょうか?
下川町の温室効果ガスの40%を占めるメタンの寿命は12年。私たちが必死に削減しようとしているCO2はどうでしょう?
恐ろしいことに、CO2に寿命はありません。
そのため、私たちが排出してしまったCO2は取返しがつかないということになります。
そこで注目されているのが温室効果ガス、炭素の固定化です。長い期間炭素を固定化、「バイオ炭」にするというものです。
土地改良材として使えるため、このバイオ炭をつくる取り組みが普及しています。大気中に炭素を逃がさないために何ができるか、私たちでも考えていきたいですね。
最後に
ゼロカーボン通信、ありたい姿探検記のコラボ記事をお届けしました。町では今後もゼロカーボン勉強会を開催していきますので、ご興味のある方はぜひご参加くださいね。それでは、来月のゼロカーボン通信、ありたい姿探検記もお楽しみに!
参考
もっと地球温暖化について深めたい人はこちらを是非!