アイスキャンドル絶滅の危機!?を回避するためにできること
しもかわ冬の風物詩のアイスキャンドルに焦点を当て、SDGs目標13「気候変動に具体的な対策を」などから、しもかわ、日本、世界をつなげて持続可能なアイスキャンドルを目指します。
こんにちは、下川町の清水、しもかわ観光協会の高松と、下川SDGsアンバサダーの和田です。
先月は牧村洋さんから、アイスキャンドルなどのコロンブスの卵での取り組みやまちおこしへの想いをお聞きしました。
今月は、アイスキャンドルをテーマに世の中をみていきましょう。
※この記事は下川町の広報3月号「ありたい姿探検記」の記事の充実版です
アイスキャンドルはしもかわ文化財?
アイスキャンドルはしもかわでの生活に欠かせない存在となっています。始まりは、
というコロンブスの卵の皆さんの想いが詰まっていました。アイスキャンドルをしもかわで始めるきっかけの本では、以下のようにつづっています。
フィンランドとしもかわは気候が似ています。冬が長く、寒いという特徴は、似た雰囲気があるのかもしれません。
なにはともあれ、この本のたった2ページでしもかわは変わったのです。
徐々に受け入れられるようになったアイスキャンドルですが、今では”アイスキャンドル発祥の地”と言われるほど、町内にも、対外的にも知られるように、しもかわに欠かせない要素になっていきました。
アイスキャンドルがしもかわに定着し、時代が流れていくにつれて、楽しむための幻想的なものというだけの存在ではなくなっていました。
明かり、エンターテインメント、癒し、環境など・・・
アイスキャンドルの持つ意味合いや機能は多岐に渡るように。
”癒し”の”ゆらぎ”
例えば、アイスキャンドルは辛い冬の心のよりどころだという”癒し”の要素は科学的にも裏付けされています!
これは、人が安らぎを感じる周波数「1/Fゆらぎ」というもので、小鳥のさえずり、水の音、木目などもこれに当たります。
※難しい科学のお話なので割愛しますが、興味のある方は是非論文等で楽しんでください!
四季を楽しんで自然と共存する日本人ならではの文化として、木造建築、庭園などでリラックスできる空間を造ってきました。
そして下川町は、小川のせせらぐ音、木漏れ日、ホタルの光りなど、癒しと隣り合わせにある町だと自負しています。
なので、寒い冬を乗り越えるためにもこの癒し要素が必要だったのかもしれません。
アイスキャンドルは持続不可能?
このように、アイスキャンドルはしもかわの「しばれ」を活かした取り組みです。ただし、昨今の気温上昇によってアイスキャンドルがすぐ溶けるといった報告を耳にします。
昨年はアイスキャンドルミュージアム開催の直前に温かい日が続きました。今年は幸いにも直前にアイスキャンドル解凍事件もなく、当日も風が穏やかで幻想的な1/Fゆらぎを存分に楽しめました。
アイスキャンドルはバケツ(容器)に水を入れ、しばれた日に外に放置することにより完成します。簡単ですが、”しばれ”がなければ成り立ちません。
アイスキャンドルづくりには、自然の寒さしか使っていません。私たちは温かいことに価値を置いていましたが、寒いことも価値です。
そのため、”しばれ”を守り続けなければなりません。下川町民は、-20℃以下までいかないと”しばれる”とみなさないようです(清水調べ)。
果たして守れるのだろうか・・・-20℃以下の世界を。
SDGsの視点から
アイスキャンドルは、下川町の文化財と言ってもいいほど町に根差しているものです。では、SDGsの視点からみるとどうなのでしょうか?今回は2つの目標からみていきます。
まずは、まちづくりの視点。SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」では、11.4「文化遺産及び自然遺産の保護・保全の努力を強化する。」という指標があります。
アイスキャンドルの文化を継承するためには、何が必要でしょうか?アイスキャンドルはしもかわの”しばれ”を活かした取組でしたよね。
ということは、”しばれ”を守るため、気候変動は目標13「気候変動に具体的な対策を」立てなければなりません。
昨今、集中豪雨といった自然災害が激甚化していますが、気候変動はその要因だと言われています。すなわち、気候変動によってまちづくり・防災(目標11)に影響が出てしまっているのです。
このように、気候変動とまちづくりは大変密接に関係しています。積雪量が多く、冬が寒い地域の人ほど生活面での温室効果ガスの排出量が大きい傾向があり、北海道は全国1位です。
寒い地域ほど暖房需要が高いので仕方がないことですが、排出量削減のためには、電力を再生可能エネルギーに切り替えることや、節電を心がけることが思い浮かびますよね。
【余談】その他にも、しもかわの温暖化による困りごとをまとめた記事をちょうどベアラボで紹介していました!それも事前打ち合わせなしで!?
さすが、目指すところが一緒のチームしもかわですね。こちらへどうぞ!
楽しく解決する
しかし、先月私たちは牧村さんに「まずは自分が楽しむこと」と教わりました。
しもかわも町として、気候危機を町民全員で楽しく向き合うために、町民のみなさまが行う環境配慮活動に対して進呈する「しもりんエコポイント」を毎年実施しています。
しかし、これは下川町だけの問題ではありません。世界でも寒さを恩恵にするあらゆるものを楽しみながら守ろうという動きがあるので、ご紹介します。
POW (Protect Out Winters)
2月は北京オリンピックで大盛り上がりでしたね。しかし、ウィンタースポーツもまた、気候変動の危機にさらされています。
そこで冬を愛してやまない選手の皆さんが立ち上がり、冬を守ろうと活動し始めたのが、POWです。
JAPANPOWは2019年に発足し、長野県、札幌市、ニセコ町などと連携して気候変動に取り組んでいます。下川町も冬には恩恵を受けていますよね。
スキージャンプを、スノボを守り続けるため、私たちは考えなければなりません。自分のためにも、未来のためにも、そして地球のためにも。
未来47景
北海道の場合でも、さっぽろ雪まつりの開催が既に危惧されています。WWFで行っている普及啓発のための面白い仕掛けを紹介しましたが、
未来の風景は、あなたの行動で変えられる。
本当にその通りです。私たちにその力は十分にあります。
EARTH HOUR
脱炭素型ライフスタイルを考えるキャンペーンの1つに「EARTH HOUR(アースアワー)」があります。
清水は学生時代神奈川に住んでいたので参加しましたが、いつもキラキラしたみなとみらいの高層ビルや観覧車が消灯されました。真っ暗になった街の光景が忘れられません。
2022年のアースアワーは3月26日(土)20:30~です。アイスキャンドルは難しいかもしれませんが、参加してみませんか?
100万人のキャンドルナイト
最後に、「100万人のキャンドルナイト」という取り組みもあります。
これら2つのイベントは、電気を消すことで少しだけ環境に優しい行動(電気由来のCO2排出を削減してみる)、そしていつもと異なる環境で社会や環境のことについて思いを馳せてみるきっかけになるでしょう。
これってアイスキャンドルも同じような機能を担っていると思いませんか?
私たちにできること
今回、私たちを楽しませてくれるアイスキャンドルに“しばれ”が必要不可欠だとわかりました。
アイスキャンドルミュージアムは、皆で一緒に下川の文化を考え、継承するためのイベントともいえるでしょう。
楽しみながらまちのことを考える中で、新たなヒントが得られるかもしれません。
牧村さんの背中をみてきた私たちなら、下川町の文化を引き継ぎ、新しい価値を生み出せるでしょう。大丈夫。まずは楽しみましょう!
広報1年分振り返り
今月はアイスキャンドルをテーマに、しもかわの冬の文化を守るために必要なことを考えました。
今年度から始まった探検記、お付き合いいただきありがとうございました!
来年度も皆さんの気になることをご紹介していきたいとワクワクしておりますので、引き続きよろしくお願いします。